1 親権者の指定について
離婚する際は、親権者を指定しますが、親権に争いがある場合は離婚調停を申し立てます。調停不成立の場合は、離婚訴訟で解決することになります。
離婚訴訟における親権者指定では、子・父・母それぞれについて、以下の事情等が比較検討され、子の利益・子の福祉の観点から決定がされます。
・父母の事情
監護の実績、今後の養育方針・養育環境、不適格事由の有無
・子の事情
年齢、きょうだいとの関係、心身の発達状態、健康状態、 環境への適応状態と適応能力
・子の意思
15歳以上の子については、陳述聴取が必要的であり、書面照会、裁判官による審問、調査官調査などの方法によって行われます。
2 面会交流について
面会交流は、父または母が子と面接するなどの方法で親子としての交流を持つことをいいます。
離婚協議中、あるいは離婚後、面会交流について父母の間で合意できない場合、まずは調停をし、調停不成立の場合は審判で解決することになります。離婚訴訟に附帯して面会交流を請求することもできます。
非監護親と子の面会交流は、子の健全な育成に有益と考えられており、面会交流の実施により子の福祉が害されるおそれがある場合を除いて、認められるべきと考えられています。
面会交流を禁止・制限すべき場合には、子の連れ去りのおそれ、子の虐待のおそれ、DV、子の拒絶、監護親・非監護親の再婚がある場合などが考えられます。
調停・審判後も面会交流が履行されない場合は、家庭裁判所による履行勧告、間接強制(制裁金)の方法によることになります。
3 子の引き渡し請求について
離婚後、親権者ではない相手方に子を連れ去られてしまったという場合に、子の引き渡しを求める調停や審判を申し立てることができます。
親権者ではない側からも、親権者変更を申し立てるとともに、子の引き渡しの申し立てることができます。
離婚前であっても、別居中、相手方に子を連れ去られてしまった場合は、子の監護者の指定を申し立てるとともに、子の引き渡しを申し立てることができます。
子の引き渡しは、審判前の保全を申し立てることが可能です。子の連れ去りの場合、子の引き渡し審判・子の監護者の指定の審判・審判前の保全を同時に申し立てることになるケースが多いと思います。
審判申立後は、家庭裁判所による子の監護状態の調査(父母、子、祖父母などの監護補助者、子の保育園・学校等からの聴き取り、面接、家庭訪問など) 、子の意向調査が行われます。
子の引渡しは以下の事情を考慮して判断されることになります。
・監護者の適格性
監護意欲、監護の実績、心身とも健康であること、子に対する愛情、経済力、適切な居住環境の提供、祖父母などの監護補助態勢、面会交流の許容性、監護開始の態様の違法性等
・監護の継続性
・子の意思(子の年齢、成長の程度に応じて)
・主たる監護者による監護継続の必要性 など
子の引渡しの保全・審判後も相手方が子を引き渡さない場合は、家庭裁判所による履行勧告、強制執行(間接強制・直接強制)、人身保護請求の方法によることになります。
※ 以下もご参照ください。
離婚の方法と種類、離婚後の手続きなどについて
離婚原因・離婚慰謝料・不貞慰謝料について
婚姻費用の分担・養育費について