離婚

離婚の方法と種類、離婚後の手続きなどについて

1 離婚の方法と種類について

⑴ 協議離婚
 未成年の子がいる場合は親権者を指定して離婚届をします。
 仮装離婚も有効、将来離婚の合意は無効とされています。そのほか、親権者を勝手に記載して届け出られた離婚届であっても、離婚自体は有効とされています(親権者については、親権者指定無効、親権者変更などの手続をとることになります)。
 離婚を望まない場合、配偶者が勝手に離婚届をして受理されてしまわないよう、役場で離婚届の不受理届をすることができます。(ただし、調停離婚や判決離婚の届出がされた場合は、不受理届が出ていても受理されることになります)

 公正証書による協議離婚をすることがあります。その際、一緒に養育費の合意をすることがありますが、この場合、養育費の時効は、(調停調書、審判、判決の場合は10年であるのに対し)5年と考えられます。
 養育費の支払が滞った場合、調停調書、審判、判決の場合は家庭裁判所の履行催告の手続が利用できますが、公正証書による協議離婚では家庭裁判所の履行催告の手続が利用できないということがあります。

⑵ 調停離婚
  「夫婦関係調整調停」を申し立てます。これに、親権者、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割の調停を付随して申し立てることができます。
 婚姻費用分担請求は、夫婦関係調整調停とは別に申立を要しますが、夫婦関係調整調停と一緒に調停をすることができます。
 不貞の相手方に対する慰謝料請求も、夫婦関係調整調停とは別に申立を要しますが、夫婦関係調整調停と同時進行が可能とされています。
 夫婦関係調整調停に養育費・財産分与などの付随申立をした場合、これらの付随申立事項は、離婚の成立が前提となっていますので、離婚調停が不成立となった場合は審判には自動移行せずに終了します。

⑶ 調停に代わる審判(審判離婚)
 離婚自体に争いはないけれど、例えば、養育費の金額などでわずかな意見の違いがあり合意ができないとき等に利用される手続です。ただし、2 週間以内に一方から異議申立があると、審判は効力を失います。

⑷ 離婚訴訟
 調停前置とされていますので、調停をして調停が不成立となった場合に、訴訟で解決することになります。
 統計上、判決 42.8%(内訳 認容 39.0%、棄却 3.6%)、和解 45.8%、取下げ 9%(平 24)とされており、約半分が和解で終結しています。
 当事者双方出席事案の平均審理期間は、15.9 カ月(平 24)となっています。

※ 以下もご参照ください。
  離婚原因・離婚慰謝料・不貞慰謝料について
  親権・面会交流・子の引き渡しについて
  婚姻費用の分担・養育費について

2 訴訟費用(裁判所に納める印紙)について

調停・審判 1200 円

財産分与・養育費などの申立額にかかわらず一律です。
調停・審判手続費用は各自負担とするのが原則ですが、事情により、他の当事者、利害関係参加人、審判を受ける者となるべき者などに負担させることができるとされています。
二表審判事件(財産分与・婚姻費用の分担・子の監護に関する処分・年金分割など)は、調停が不成立となり自動的に審判に移行した場合、あらためて印紙を納付する必要はありません。
離婚訴訟 ① 離婚
 1 万 3000 円(訴額160万円として印紙額を算定)
② 付帯処分(財産分与・子の監護に関する処分・年金分割)
 申立ごとに 1200 円
 養育費・面会交流・子の引渡し請求は、それぞれぞれ子 1 人ごとに 1200 円
 親権者指定は手数料は不要です。
③ 損害賠償請求(離婚慰謝料等)
 ① の訴額 160 万円と比較して多額である訴訟の目的物の価額による印紙額になります。

離婚事件の弁護士費用は、 弁護士費用 をご覧ください。

3 離婚後の手続きについて

⑴ 届出
 調停・和解・判決等による離婚成立後、10 日以内に届出をします。原告・申立人が第一次的な届出義務者であり、 第一次届出義務者が 10 日以内に届出ないときは、相手が届け出ることができます。

⑵ 氏の問題
  離婚復氏が原則となりますが、婚姻改姓した者が、婚氏の続称を希望する場合、離婚から3か月以内に役場に婚氏続称届をすることができます。
  婚氏続称希望者が調停の相手方である場合、婚氏続称届を離婚届と同時提出をすれば、いったん親の戸籍に戻らず、1人の戸籍を作成できるので、上記⑴の届出義務を引き受けるのが便宜であり、そうしているケースが多いです。
  父母が離婚し、親権者が決まっても、子の氏は当然には変更にはならず、変更する場合は家裁の許可が必要になります。子が15 歳以上の場合は子本人が申立をし、子が15 歳未満の場合は親権者が申立をします。郵送での申立が可能で、決定も郵送で送られてきます。この決定を役所に届け出ると、子の戸籍が移動し、子の氏を変更することができます。
 
⑶ 不動産の財産分与
 税金の問題がありますので、事前に税理士に相談されることをおすすめします。
 登録免許税は、登記申請の際に支払います。原則、取得する側の負担になります。
 譲渡所得税は、分与側が納税義務者になります。居住用財産については、3000 万の特別控除があります。
 そのほか、不動産取得税の問題などがあります。
 慰謝料・現金での財産分与については、双方課税されることはありません。

⑷ 年金
 年金分割は、離婚成立後、2年以内に社会保険事務所へ届出することが必要です。
 被扶養配偶者(3 号被保険者)であった方は、1 号被保険者への切替の届出をし、これにより保険料の支払が開始されます。

⑸ 健康保険
 被扶養配偶者であった方は、脱退手続と新規加入手続をし、これにより健康保険料の支払が開始されます。

⑹ そのほか、児童扶養手当、児童手当の受給者の交替、子の扶養控除交替、寡婦控除など

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