離婚

婚姻費用の分担・養育費について

1 婚姻費用の分担について

 婚姻費用の分担額について協議がまとまらない場合、まずは調停をし、調停不成立の場合は審判に自動移行し、審判で決めることになります。
 婚姻関係が破綻していても婚姻費用の分担を請求することができますが、破綻や別居について専らまたは主として責任がある側からの請求の場合は、分担額は子の養育費分のみとなります。

 分担額は当事者双方の収入を基礎として算定されます。
 調停・審判の手続の中で、相手方の預金や収入を調査することもできます。
 
 過去の婚姻費用については、請求時(調停または審判申立時となることが多いと思います)からの分は、請求可能と考えられています。
 婚姻費用を過当に負担した一方は、離婚時の財産分与において、婚姻費用の清算分を含めた分与額としてもらうことができます。
 
 調停・審判後も相手方が任意に支払わない場合は、家庭裁判所による履行勧告、強制執行(給与などの差押え)の方法によることになります。
 審判前の保全として、仮差押え(給与債権仮差押え)、仮処分(仮払い仮処分)を求めることもできます。
 
 婚姻費用の額が、調停・審判後に、子の成長、リストラや収入減少などの事情変更により不相当となった場合は、増額・減額の調停・審判を申し立てることができます。

2 養育費の請求について

 離婚時には、養育費の取り決めをしておくことが望まれますが、離婚届提出時の養育費取り決め率は約56%(H24)にとどまるとされています。
 後日、養育費の取り決めの有無が争いにならないよう、合意書を作成しておくことをおすすめします。
 相手方が取り決めどおりに支払をしない場合、公正証書であれば強制執行が可能ですが、私文書の場合は民事訴訟または調停・審判を経る必要があります。
 養育費の取り決めがある場合の文書化率は70.7%(H23)とされています。

 養育費を取り決めずに協議離婚した場合、養育費については、まずは調停をし、調停不成立の場合は審判に自動移行し、審判で決めることになります。
 離婚前は、離婚調停申立に付随して養育費を請求することができます。離婚調停が成立するケースでは、ほとんどの場合養育費の取り決めも行われます。
 離婚訴訟に附帯して養育費の請求をすることもでき、別居期間中の養育費についても請求が可能です。

 調停・審判の手続の中で、相手方の預金や収入を調査することもできます。
 調停・審判後も相手方が任意に支払わない場合は、家庭裁判所による履行勧告、強制執行(給与などの差押え)の方法によることになります。
 審判前の保全として、仮差押え(給与債権仮差押え)、仮処分(仮払い仮処分)を求めることもできます。
 
 養育費の額が、調停や審判後に、子の成長、再婚して子どもが出生、リストラや収入減少などの事情変更により不相当となった場合は、増額・減額の調停・審判を申し立てることができます。



※ 以下もご参照ください。
  離婚の方法と種類、離婚後の手続きなどについて
  離婚原因・離婚慰謝料・不貞慰謝料について
  親権・面会交流・子の引き渡しについて